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取材 ・テキスト

宮崎 敦(山形支局長)

 

 

repo.5 YC天童

 

〝 新聞販売店で働くということ 〟

202312

岩松成治 店長

住み慣れた地域で、生きがいを感じる仕事を見つけたい。誰でも願うことだが、実現はなかなか難しい。読売センター(YC)天童の岩松成治店長(27)は高校卒業後に合う仕事がなかなか見つからず、悩んでいた時に地元のYCの仕事に出会った。

◇工場勤めが合わず…


岩松店長は天童市の中学、東根市の高校を卒業。就職先は、同じ高校から毎年のように就職するOBがいた製造業の会社を選んだ。1年半後に関東に転勤、製品を一つ一つ確認する仕事に就いていたが、やりがいを感じることが難しかった。


 “誰かに作業をずっと監視されながら、一生同じ仕事を8時間するのだろうか”

結局、2年ほどで退職した。地元に戻り自動車の整備を手伝う仕事をしたが、思いのほか体力的にきつく、半年ほどしか続かなかった。20歳になり“働かないと”と焦りを感じつつ、どんな仕事が合うかわからず悩んでいた。そんな時、友人のつてを通じて、東根市のYCから“働かないか”と声がかかった。


 「勢いですね」。入社日はちょうど21歳の誕生日。新聞業界を何も知らず、仕事に飛び込んだ。担当したのは天童市の北側の地区。仕事を始めたのは冬で、配達は雪が多く冷え込む上、夜明けが遅い厳しい季節だった。「ぶっつけ本番でした。最初は朝刊配達の時間に慣れたり、配達する地域や家を覚えたりするのが大変で。でもこれまでの仕事と違って、毎日の配達が終わった時の満足感がありました」

岩松成治 店長

人と話し、感情が動く仕事がいい

 

販売店の仕事は夜の新聞配達、昼の営業や集金の仕事がある。シフトが夜勤の日は午前1時30分に出勤。工場から新聞が届くと、折り込みチラシをはさんだり担当分の新聞を車に積んだりして、2時半頃に店を出発し、暗いうちから新聞を配って回る。店に戻るのは午前4時半頃、片付けなどをして5時に作業を終える。午前中は休み、午後は2時~7時まで出勤して地域の営業活動や集金をした。シフトが日勤の日は、午前10時~午後7時まで作業する。

「人と話すのは好きで、営業をしたり、新聞を長くとっているお客様と話をしたりすることに、やりがいを感じました。若いからとお客様にかわいがられて、家にあげてもらったり、サクランボをいただいたり。新しく契約を取れれば収入になるし、早く仕事を終わらせられれば自分の時間を作れる。自分に合っていたと思います」

「先輩に営業のやり方を教えてもらったり、配達中に車が雪にはまって動かなくなって救出に来てもらったり。ひざまで積もった雪をかきわけながら配達して、夏より2倍近く配達に時間がかかったり。それでもYC天童で働く仲間は世代が近く、アットホームな雰囲気がありました」

 小学校から高校まで野球を続けた。野球をしていると、負けて悔しさを感じる日もあれば、勝ってうれしさをかみしめる日もあった。YCで働き始めてから、辛い日もあればうれしい日もある、感情の動きがある日々を送れる充実感がある。

 

「仕事をしながら人からいい感情をもらい、人とのつながりを感じる。お客様に『いつも読売ありがとう』と言ってもらえるのが、何よりうれしいですね」
 

岩松成治 店長
岩松成治 店長

YCで働くという生き方


 昨年12月、26歳でYC天童の店長になった。店の社員4人、事務1人、パートの配達員が15人ほどいる。これまでの仕事に加え、配達員を求人したり、シフトを考えたりするなどの仕事も増えた。それでも「こうやりたい、と思っていたやり方で仕事できる立場になり、後進を育てていく楽しみもできました」と笑う。

―― 改めて、YCで働く良さは何でしょうか。

「配達が終わった時の毎日の充実感、誰にも見られず自分のペースで仕事ができること。パートの配達なら人づきあいが苦手な人でもできますし、定年後に働き始める人もいます。早起きして体を動かすのは健康にいいし、60歳を過ぎて10年超えて働く人もいれば、20~30歳代の若い社員もいます。できれば若い人たちと一緒に、さらに活気のあるお店にしたいですね」

YC天童スタッフ

YC天童

 

山形県天童市老野森2-9-7

TEL 023-654-1367

ウェブサイト

https://www.standard0703.com/

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