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山形支局長 中村泰彦

1975年生まれ。

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202610

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久しぶりに山形で暮らして、いくつか気付いた、思い出したことがあります。スーパーや飲食店の値札は首都圏と比べて、決して安くありません。場合によっては高いかも、と思うときがあります。これは運送や冬場の生産維持コストなどの影響なのでしょうが、家賃が比較的、手頃な分、意外でした。局所的かもしれませんが、交通量も増えているような気がします。大型商業施設の登場や観光客の増加が背景にあるのだと推測します。ただ、なんと言っても実感できる山形らしさは昼夜の寒暖差でしょうか。赴任前、通勤していた東京都千代田区や自宅のある千葉市では、昼間暑ければ、夜になってもだらだらと高い気温が続きます。毎日のように気温が25度を超える熱帯夜でした。山形では昼間がどんなに暑くとも日が沈めば過ごしやすくなる。気象庁によると、山形市内の熱帯夜は今年、2回だけでした。昼夜の別だけで無く、季節の移り変わりも如実に分かります。10月に入ってからは肌寒いと感じる日も多くなってきました。木々の葉も少しずつ変色し、支局の周辺では赤とんぼが乱舞しています。秋が来たことが目に見えて分かることが新鮮。二十年以上、夏からいきなり冬になる環境で暮らしてきた身にとって、忘れていた風景でした。先日、東京から来た客人を西蔵王の展望公園に案内しました。市街地や遠く月山を一望しながら、「秋の匂いがしますね」と。少し格好付けた言葉だったのかもしれませんが、私も同意しました。押し付けがましくも無く、おのずと五感に気付かせてくれる。山形の気候風土は、やっぱり魅力にあふれています。

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202609

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長いこと忘れていた出来事を思い出す瞬間があります。何となく車を走らせている時、ふとした会話の際に、よみがえって来る記憶。その多くは必ずしも楽しい思い出ではありませんが、それでも自分の過去を発掘したような気持ちになります。記者1年目の冬、夜間に交通事故があり支局から長井市へ向かいました。写真を撮影し、取材も終了。ただメールもデジタルカメラもなかった時代です。締め切りに間に合わせるためには、戻って写真を現像しなければなりません。未熟な運転技能、カチカチに凍った路面、電話の向こう側で急かすデスク。オチの分かる条件がそろっていました。目をこらしながら連続したカーブを駆け抜けます。そのとき、路上に一羽のウサギが見えました。瞬間、ハンドルを切ると車はフィギュアスケーターのように回転、道路の真ん中で止まりました。対向車がいなかったから良かったものの、あわや大惨事でした。氷点下の深夜、気持ちの悪い汗が滲みました。本当に唐突ですが、長井にお邪魔した帰路、同じカーブに差し掛かった時に、この三十年近く前の出来事がよみがえってきました。この事故? は覚えていたのですが、場所までは失念していました。「なんか見覚えがある」と思った瞬間に、頭の中で何かがつながったような感覚がありました。確かに楽しい記憶ではないのですが、それが不快だったかというと案外そうでもない。当時の自分を振り返り「頑張っていたなあ」とむしろ嬉しい気分になりました。「失敗や挫折は良い思い出になる」という教訓めいたことを改めて実感しました。初任地である山形は私にとって失敗の宝庫。これからも都合良く忘れている記憶を取り戻す機会があるだろうと期待しています。

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202608

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​単身赴任生活も2か月が過ぎました。頼りになる同僚たちと楽しく過ごしていますが、騒がしい自宅を懐かしく思うときもあります。


そんな折、夏休みを利用して家族が山形にやってきました。いかに楽しませるか、力がこもります。置賜は来夏に温存することにして、蔵王から山寺、最上を通って庄内へ。帰路で月山に寄る旅程です。途中、かつて取材した場所なども訪れます。我ながら旅行会社顔負けのプランを考えたと悦に浸っていたのですが、もてなす相手は小中学生、大きな誤算がありました。「ここには即身仏があってね・・・」、「あれが月山、行ってみようか」などと水を向けても、子どもたちは「はいはい、行くなら行くよ」とすげない反応。父が張り切っているから付き合ってやるよ、という本音が見えました。挙げ句の果てには「ショッピングモールに行きたい」とのたまう始末。それは山形じゃなくてもあるだろう、と思いつつ、ゲストの意向を尊重して、旅の後半は各地の商業施設を巡ることになりました。「見たことがある」、「行ったことがある」という経験は無駄になりませんが、子ども目線で楽しめるようにするべきだったのかもしれません


花鳥風月を解さぬ我が子たちでしたが、食に関しては大喜び。そばに肉、魚介など各地で頂いた逸品に「今まで食べた中で一番おいしい」と目を輝かせていました。いっそ来年はグルメに特化した旅行にしようかと思案しています。

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202607

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夏の高校野球県大会が7月10日に開幕、37チームが参加しました。熱戦を繰り広げたすべてのチーム、選手に拍手を送りたいと思います。数年ほど前に気づいたのですが、高校野球を観戦していると、いつの間にか保護者の気持ちになっているな、と。ご承知のように、常にボールが動くサッカーやバスケットボールなどの競技と異なり、野球には投球ごとの「間」があります。選手の表情が見えやすく、緊張や後悔など、感情が手に取るように分かる瞬間があります。心配になって「気楽に楽しんでやればいいよ」、「そんなミス、大したことないよ」などと画面の外から声をかけたくなります。まして、打ち込まれた投手や試合の終盤に大きなエラーを犯した選手が崩れ落ちる姿はもう見ていられません。3年間、あるいはもっと幼少の頃から、練習に取り組んできた生徒にかける言葉は容易ではありません。ただ一つ、少しだけ長く生きている人間から言わせてもらえれば、失敗や挫折の経験は必ずプラスになると。これまで努力できた人は、これからも努力ができる人。落ち込んで、動けなくなっても、時が来れば、培ったエンジンで力強く前進できます。どうかこれまでの自分に自信を持って欲しいと思います。

 

山形支局でも1年目の記者が高校野球の取材に取り組みました。うまくいかなかったことはあれど、多くの経験を積み成長してくれたと思います。私も働きやすい環境を整えつつ、保護者として支局員を支えます。​​

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